【UKロック史⑤】
エレクトロとの融合や、パンク・ガレージロックへ回帰するイギリスのバンドたち。様々なサブジャンルで溢れる2000年代。
新時代に突入すると音楽のスタイルはさらに進化し、また新しいサブジャンルや異なるスタイルの音楽との融合が目立つようになっていきます。タレントショーでは主にポップス、ブリティッシュ・ソウル、シンガー・ソングライター系のアーティストが注目され、アデルやエイミー・ワインハウスなどが成功をおさめます。ダンス業界では grime や dubstepが拡大されていきました。
そんな中、ロック業界ではガレージ・ロック、ポスト・パンクが復活するとともに、エレクトロニック音楽が混ざったニュー・レイブ系のインディーバンドも現れました。
(参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Music_of_the_United_Kingdom_(2000s_%26_2010s))
この時代に流行したジャンル Indie rock / Post-Britpop / Garage rock revival / Post-punk revival / Soft rock / Heavy metal / New rave / Pop rock 代表3組 Indie rock Post-punk revival Others (Folk rock, Hard rock, Metal) |
代表3組
Coldplay
デビュー・アルバム『パラシューツ』とシングル「Yellow」の大ヒットにより世界的な成功を得た。コールドプレイはさまざまなアーティストの影響を受けている。ギターとファルセットボーカル中心の曲が多いレディオヘッドやトラヴィスをはじめ、U2からも強い影響を受けているとされる。『パラシューツ』以降は他方面からの影響を得たとされ、『静寂の世界』ではエコー&ザ・バニーメンやジョージ・ハリスン、『X&Y』ではジョニー・キャッシュからの影響やクラフトワーク的作風にも挑戦している。
Arctic Monkeys
2002年に結成された英国シェフィールド出身のガレージ/オルタナティヴ・ロック・バンド。メンバーはアレックス・ターナー(vo、g)を中心とする4人編成。デビュー前よりデモ音源がネットで話題となり、2006年1月発表の1stアルバム『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』は全英初登場1位を獲得。UKロック・シーンで最大級の人気を誇るバンドとして活躍。
Muse
その唯一無比なサウンド・ダイナミズムでロック・シーンに新風を吹き込む英デヴォン州テンマス出身の3人組。強靱なバンド・アンサンブルと、空前絶後のステージ・セットが織りなす一大スペクタクルとも言うべきライヴ・パフォーマンスも彼らの大きな魅力の一つ。2013年にはロック・バンドとして初めて4Kフォーマットでライヴ映像を収録、全世界でそのライヴのプレミア上映を行ったことも大きな話題となった。
Indie rock
Alt-J
バンド名はアップル社のコンピュータ“Mac”で記号「△」が表示されるキーボードのタイピング順“alt+J”に由来。フォークからダブステップまでの多彩な要素によるサウンドが話題となり、英インディ・レーベル“Infectious”と契約。2012年にアルバム『アン・オーサム・ウェーヴ』でデビュー。同作は、英国音楽賞“マーキュリー・プライズ”を受賞、一躍UKを代表する若手バンドへと台頭した。
Elbow
英国マンチェスターにて結成。ガイ・ガーウェイ(vo)を中心とする5人組のUKギター・ポップ・バンド。インディーズでの活動の後、2001年にV2レコードよりメジャー・デビュー・アルバム『アスリープ・イン・ザ・バック』を発表。レディオヘッドに通じる陰影に富んだサウンドでリリース直後から人気に火がつき、このデビュー作で英国のゴールド・ディスクを獲得した。ブリット・ポップの復権を託された期待のUKバンド。
Kasabian
カサビアンは21世紀にイギリスでデビューしたロックバンドの中で最も活躍しているバンドの一つであり、2010年にはQ誌で現在活躍する世界最高のライヴ・アクトに選出されている。エレクトロニカを融合させたロックサウンドが特徴で、しばしばその音楽性をインディーロックと形容されることもあるが、本人たちはインディーロックを毛嫌いしておりカサビアンはそのようなジャンルに当てはまらないと述べている。
Razorlight
2003年に、前年から盛り上がっていたバンドブームの波に乗ってデビュー。当初はその外見や音楽性からザ・リバティーンズのフォロワー的な扱いだったが、場所や時間を問わずに、ひたすらライヴをやり続けてファンを増やし、4thシングル『Golden Touch』でブレイク。翌年にリリースしたファーストアルバム『アップ・オール・ナイト』はUKチャート初登場3位という好成績を収め、2006年発表のセカンドアルバム『レイザーライト』と2ndシングル『America』は1位を記録した。
The Horrors
2006年に出現した最もエキサイティングなバンド、ザ・ホラーズはスリリングでアンフェタミンを摂取したような、60年代のR&Bとグランジの音を鳴り響かせている。シャングリ・ラズとザ・クランプスの音をほうふつとさせる。ステージ上の15分間、彼らはカオス的とも言えるライヴ・パフォーマンスを披露し、狂信的なファンを作った。
The Kooks
キンクス、ローリング・ストーンズ、ブラーなど英国的なソングライティングの伝 統を受け継ぎつつ、ボブ・ディランなどに影響されたフォーキーなロック・アンサンブルが特徴。とりわけ、キャッチーなメロディで歌われるラヴ・ソングを得意とする。ポップなセンスとしっかりしたバンド・アンサンブルの両面で男女ともに人気を博している。
The Wombats
英国リヴァプール出身のトリオ・バンド。アルバム・リリースの前から、シングル「ロスト・イン・ザ・ポスト」がNME誌など英国の主要メディアで絶賛され、人気を高めていく。2007年、1stアルバム『ガールズ・ボーイズ・アンド・マースピアルズ』を日本先行でリリース。シンプルなアレンジながらも、思わず口ずさんでしまうポップ&キャッチーなメロディ、メンバーの愛すべきキャラクターなどで、UKロック・ファンからの注目を集めた。
Post-punk revival
Franz Ferdinand
アート・スクール的でポップな編集感覚溢れるそのサウンドは「ダンスとポップの垣根を取り払った」と喧伝される。一見すると、イギリス伝統のキャッチーなリフとメロディーを持ち合わせるレトロなロックンロール・アンサンブルながら、その内実ではエレクトロクラッシュを通過したダンサブルなリズムを導入し、ダンス・フロアでも機能する「踊れる」バンド・サウンドを実現させる。
Kaiser Chiefs
1990年代前半のブリットポップ、特に初期ブラーやスーパーグラス、パルプなどからの影響を強く感じさせるポップでキャッチーな曲調が特徴。長い下積みを経て遅咲きの成功を果たし、2005年のUKシーンにおける新人レースの先陣を切った。イギリス国民特有の皮肉っぽさにユーモアを交えた歌詞を英国調サウンドで鳴らす彼らは、UKシーンにおける国民的ロック・バンドとして人気を獲得している。
The Fratellis
「”俺たちは、”現実”について歌っているんだ”って吼えてるそこいらのバンドの一つじゃないんだ」、マーク・ボランに生き写しのような風貌のジョン・フラテリ(Vo、G)は吐き捨てるように言う。「俺達が暮らしている”現実”なんて、糞みたいなもんだ。ザ・フラテリスは、そんな糞みたいな現実からみんなを解放する音楽を作っているのさ。偉大なロックンロールは、”非日常/現実逃避”がテーマだ、そうだろ?」
The Ting Tings
自然体でファッショナブルなキャラクターと独創的なDIYスタイルの音楽性が瞬く間に世界中に飛び火。リック・ルービンのラヴコールを受け、2008年に『ウィ・スターテッド・ナッシング』でアルバム・デビュー。世界中で大ヒットを記録したシングル『グレイトDJ』は、CMソングやドラマ主題歌に起用されるなど日本でも絶大な人気を誇る。
Others
Stereophonics
(Post-Britpop)
デビュー当初から、骨太でアーシーな男気溢れるサウンドとケリーのハスキーボーカルが特徴。アメリカのロックから影響を受けており、王道のアメリカン・ルーツ・ロックと英国バンドらしいポップネスが同居したメロディーによってブリットポップ終焉後のUKシーンを牽引してきた。
Mumford & Sons
(Folk rock)
英ロンドン出身のフォーク・ロック/ブルーグラス・バンド。テッド・ドウェイン、ベン・ラヴェット、マーカス・マムフォード、ウィンストン・マーシャルの4名で2007年に結成。英国内ツアーやフェスへの出演を経て、2009年に『サイ・ノー・モア』でアルバム・デビュー。同作は全英全米ともに2位となり、その後ロングセラーに。人気を不動のものとすると、2012年の2ndアルバム『バベル』が英米初登場1位を記録し、2013年のグラミー最優秀アルバム賞を受賞。
Bring Me the Horizon
(Metalcore / Alternative rock)
バンドの構成はヴォーカル、ギターx2、ベース、キーボード、ドラム。1st「カウント・ユア・ブレッシング」ではメタルコアとデスメタル双方の要素を持ちデスコアと形容されたが、2nd「スーサイド・シーズン」ではメタルコアを基調にデジタルなサウンドを組み込んでみたりと、従来の枠組みにとらわれないスタイルへと変容を遂げている。4th「センピターナル」以降はオルタナティヴ・ロック、オルタナティヴ・メタルへの傾倒が顕著になっている。
The Darkness
(Hard rock)
ザ・ダークネス(The Darkness)は、イギリス出身のロックバンドである。2000年にサフォークにて結成された。ハイトーンボイスを多用したジャスティンの個性的な歌唱法やパフォーマンス、AC/DC、クイーン、エアロスミス、レッド・ツェッペリンなどの1970年代風のハードロックを演奏するのが特徴で、リアルタイムだったリスナーからも支持を得ている。
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