【UKロック史③】
ポップだけどどこか陰鬱なギターとシンセ。80年代のイギリス出身バンド
Music of the United Kingdom in 80s
80年代の特徴はなんといっても電子音楽とロックが合体したバンドサウンド。パンクのエネルギッシュな部分を引き継ぎつつも、電子音楽や民族音楽を取り入れるなど実験的なポスト・パンクや、ダークでキーボードを多用し憂鬱な歌詞のゴシック・ロック、ロンドンやバーミンガムのナイトクラブシーンから始まりシンセサイザーを多用しビジュアルが特徴のニュー・ロマンティクスなどがある。この動きはニュー・ウェイブと呼ばれた。
(参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Music_of_the_United_Kingdom_(1980s))
この時代に流行したジャンル New wave / Synthpop / New romantics / Gothic rock / Grindcore / Heavy metal / Folk punk / Post punk / Indie rock 代表3組 Synthpop Post punk & Others |
代表3組
David Bowie (Solo Artist)
ボウイはロックンロールという音楽を、ひとつの芸術形式としか説明できない境地へと高めた男である。大概のポップ・アーティストよりも完全に深遠な原動力に突き動かされたデヴィッド・ボウイは、たぐいまれなサウンドと果てしないヴィジョンという非常に特別な世界に生きている。ロックの巨匠たちのマンネリズムに甘んじることを拒絶し、陳腐という屈辱的なネガティヴ・スパイラルに陥ることを避けながら、ボウイは好きな曲を好きなときに書いて演奏する。彼が参加しなかったレッド・カーペット系のイベントや賞のセレモニーは数え切れないほどあるものの、彼の次の動向への興味は増すばかりだった。
The Smiths
1982年に結成された英国マンチェスター出身の4人組。83年にデビュー。日常の怒りや悩みを詩的に歌うモリッシーと、ジョニー・マーのギターを軸にしたサウンドが、閉塞状況に置かれたポスト・パンク世代の共感を呼ぶ。『ミート・イズ・マーダー』などの名作を発表するが、87年に解散。モリッシーはソロ・アーティストとして『サウスポー・グラマー』などの佳作を発表、ジョニー・マーはザ・ザのギタリストとして活躍した。
The Police
ジャズバンドのラスト・イグジットで活動していたベーシスト兼ボーカリストのスティング、プログレッシブ・ロック・バンドのカーヴド・エアで活動していたドラマー、スチュワート・コープランド、ギタリストのヘンリー(アンリ)・パドゥバーニの3人で結成。後に、元後期アニマルズのギタリスト、アンディ・サマーズが加入し4人編成となるが、ヘンリー(アンリ)が脱退しトリオとなる。ロックの枠組みの中に、レゲエの要素を加えるという斬新な音楽性は、ホワイト・レゲエとしばしば呼称される。
Synthpop
Depeche Mode
ポスト・パンク時代のパイオニア、デペッシュ・モードは、世界で1億枚を売り上げる、現代の音楽シーンにおけるもっとも影響力の強いグループとなった。メンバーはマーティン・ゴア、デイヴ・ガーン、アンディ“フレッチ”フレッチャーはスタジオとツアーの両方の面で評論および商業的な賞賛を受け続けている。バンドがこれまでにリリースした12枚のスタジオ・アルバムは、米英を含む20カ国以上でトップ10を獲得している。
Duran Duran
英国バーミンガムでキーボードのニック・ローズとベースのジョン・テイラーによって結成されたデュラン・デュランのサウンドは、彼らの青春の音楽、すなわち、’70年代ニューヨークの活気に満ちたアンダーグラウンド・シーン(ニューヨーク・ドールズやベルベット・アンダーグラウンド)、アイドル的存在のデイビッド・ボウイー、そしてロキシー・ミュージックなどのアバンギャルドなバンドに影響を受けていた。
Frankie Goes To Hollywood
ホーンが作り出す時代の先端を行く刺激的なサウンド、話題性の高い歌詞、ゲイであることをアピールしたセンセーショナルなイメージ戦略によってバンドは一躍時の人となったが、それゆえに「トレヴァー・ホーンの操り人形」「ライブではテープを流すだけで演奏もできない」と皮肉られていた。ミック・ジャガーからは「イギリスのヴィレッジ・ピープルだ」と評された。
New Order
ニュー・オーダー (New Order) は、マンチェスターにて結成されたイギリスのテクノロックバンド。ポストパンクの代表的なバンドの一つジョイ・ディヴィジョンを前身とする。音楽性の特徴としてシンセサイザー、電子楽器などの最先端テクノロジーの技術を駆使したテクノ、エレクトロのサウンドに、クラブカルチャーをバンドで体現する生演奏のグルーヴが合わさったテクノとロックを自らの感性で融合させたハイパーなサウンドが展開されている。
The Human League
英国シェフィールドで結成。当初楽器の弾けなかった4人によるエレクトロ・ポップ・グループ。コンピュータ・オペレーターの2人がデッド・ドーターズというユニットを結成、そこに2人加わり、バンド名がフューチャー、さらにヒューマン・リーグと改められた。79年1stアルバム『人類零年』を発表。80年女性2人と男性1人が新加入し大幅にメンバー交替。シンセサイザーのポップなサウンドで飛躍。
The Pretenders
NME等のライターをしていたクリッシー・ハインドがプロデューサー、クリス・トーマス(エルトン・ジョン、ロキシー・ミュージック、セックス・ピストルズ)のアドヴァイスを受けバンド活動を開始。デビュー・アルバム『愛しのキッズ』が全英No.1、全米No.9と世界的に大ヒットし、一躍トップ・バンドにのし上がる。度重なるメンバー後退を重ねることになるが、バンドの顔「クリッシー・ハインド」は常にフィーメール・ロッカーのアイコンとして君臨。
Punk & Others
Echo & the Bunnymen
1980年7月にデビュー・アルバム、クロコダイルズを発表。ドアーズのジム・モリスンを彷彿とさせるイアンのヴォーカルに、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドや60年代に無数に生まれたガレージ・パンク、サイケ・バンドらに通じる粗削りで独得の美意識を感じさせる鋭いギター・サウンドが組み合わさったこの作品は全英チャート17位という成功を収めるとともに評論家筋からも高い評価を受けた。
Madness
(Ska)
英国を代表するスカ・バンド。日本では1981年にホンダ・シティのTVCMに出演し、一躍人気者となった彼らも今や超ベテラン。1986年に一度グループは開催するも1992年にオリジナルメンバーで再結成。近年も精力的に活動を続けており、2012年にはロンドンオリンピック閉会式でもパフォーマンスをしている。UKならではのポップな2トーン・サウンドは健在で、昨年はグラストンベリー・フェスティバルに出演。
Siouxsie and the Banshees
(Gothic rock / Post punk)
スージー・アンド・ザ・バンシーズ (Siouxsie & the Banshees) は、女性ボーカルのスージー・スー (Siouxsie Sioux) を中心として1976年に結成されたイギリスのバンド。日本ではスジバンとも略される。その音楽性は、活動時期によって多様性に富んでいる。初期のストレートなパンクから出発して、中期には呪術的とも評されたサイケデリック色を強めた独自のサウンドを構築したが、後期にはスージー・スーのボーカルがより重視されるようになった。
The Cure
(Gothic rock / Post punk)
英南部ウェストサセックス・クローリー出身のロック・バンド。1976年にロバート・スミスらが結成した“イージー・キュアー”を前身に、78年にキュアーと改名。79年に『スリー・イマジナリー・ボーイズ』でアルバムデビューを果たす。当初は陰鬱なパンク色の強いニューウェイヴを奏でていたが、メンバーチェンジを重ねながら、ポップやゴシック、オルタナティヴといった作風へと変遷。英を代表するバンドへと飛躍を遂げ、多くのリスペクトを集める存在に。
The Psychedelic Furs
ボーカルのリチャード・バトラーとベースのティム・バトラーの兄弟を中心とする6人組。ロックバンドには珍しいサックス奏者をフィーチャーしたメンバー編成で、サイケデリック・ロックからアート・ロック、ニュー・ウェーヴ、ハードロックまでを内包したサウンドを聴かせた。リチャードとティムは解散後の1992年、ラヴ・スピット・ラヴというバンドを結成し、2枚のアルバムを発表する。
XTC
ビートルズやビーチ・ボーイズといった英米問わず、オールディーズなポップスや、サイケデリック・ロックなどからの幅広い影響をもとに、その活動を通じてポップミュージックのオルタナティヴな可能性を追求した。独特のポップセンスとこだわりに満ちたアレンジを志向しながらポップス・ロックとしてのフォーマットを損なわない大胆なアプローチは、のちのブリットポップ・ムーヴメントにも大きな影響を与えた。
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