【UKロック史④】
“英国らしさ”とキャッチ―なメロディ。90年代のイギリスのバンド
UKロックといったらこの時代に誕生したブリット・ポップを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「イギリスらしさ」を強調し明るくキャッチ―なメロディを基調としたスタイルが、今の時代でも人々から人気があって、また英国ロック入門者向けといわれる理由なんだと思います。
この時代にはイギリス北部のマンチェスター出身のバンドも注目され、彼らのオルタナティブ・ロック、サイケデリック・ロック、エレクトロニック・ダンス音楽が混ざったスタイルはマッドチェスターと呼ばれ、後にドリーム・ポップやポスト・ロックへと発展します。
(参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Music_of_the_United_Kingdom_(1990s))
この時代に流行したジャンル Madchester / Dream pop and shoegazing / Indie pop / Post rock / Britpop / Post-Britpop 代表3組 Britpop Alternative rock & Others Indie rock & Pop rock |
代表3組
Oasis
英マンチェスター出身のロック・バンド。リアムとノエルのギャラガー兄弟を中核として、1994年に『オアシス』でアルバム・デビュー。全英初登場1位となりスターダムにのし上がると、メンバーチェンジを重ねながら2009年の活動停止までトータル7000万枚超のセールスを記録。ブリットポップ・ムーヴメントの代表格としてシーンに君臨し、世界的人気を博す。「スーパーソニック」「シェイカーメイカー」「リヴ・フォーエヴァー」「シガレッツ・アンド・アルコール」ほか代表曲多数。また、兄弟喧嘩をはじめ、スキャンダラスな言動でも話題を集めた。活動停止後も絶大なる人気を有し、影響を公言するアーティストも多い。
Blur
そのアート・パンクで奇抜な、ポップで洒落たバンドの存在で、一気にその存在が世界に知れ渡る事となったのだが、その後の93年発売のセカンド『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』でブリット・ロックのクールさを世界中に認識させ、94年のサード・アルバム『パークライフ』で、世界を巻き込むブリット・ポップ/UKロックの旗手としてシーンを牽引する存在へと成長していく。
Suede
英ロンドン出身のロック・バンド。1989年に結成し、92年にシングル「ザ・ドラウナーズ」でデビュー。T.レックスやデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる耽美的なサウンド、刺激的な歌詞やパフォーマンスで一躍注目される。93年の1stアルバム『スウェード』以降、全英1位アルバム3枚、トップ10シングル20枚超をチャートに送り、“ブリット・ポップ”の火付け役としてUKロック・シーンを牽引。2003年に活動休止となるも、2010年に再結成。その後、多くのメディアが絶賛したヨーロッパツアーを経て、2013年にアルバム『ブラッドスポーツ』を発表。2016年、7枚目となる『夜の瞑想』をリリース。
Britpop
Pulp
10年間の長き下積みを経てスターダムにのし上がったバンドであり、90年代のブリットポップブームの主役として、当時イギリスで社会現象的な人気を誇った。中心人物のジャーヴィス・コッカーがつくる、機知と皮肉に富んだ歌詞と妖艶なグラムロック調サウンドが特徴で、「コモン・ピープル」はブリットポップ全盛期を代表する曲として有名である。
Kula Shaker
バンド名の由来は9世紀インド皇帝の名前。インド音楽がブレンドされたサイケデリック・サウンドが真骨頂であり、フロントマンのクリスピアンがヒンドゥー教へ傾倒していることも周知の事実である。アルバム・デビューは1996年9月で、『K』はいきなりUKチャート初登場1位(2週連続)を記録、オアシスに次ぐデビュー・アルバム最速セールスも記録している。
Ocean Colour Scene
1991年、サイモン・ファウラー(vo)を中心に英国で結成された4人組。92年のデビュー当時はストーン・ローゼズの影響を受けた“マッドチェスター”直系のサウンドだった。その後、自らのルーツである60年代のスモール・フェイセズやトラフィックなどをベースにした音楽を展開するようになる。96年の2ndアルバム『モーズリー・ショールズ』の全英No.1ヒットで、オアシスやポール・ウェラーらとともにUKロックの伝統復古をアピールした。
Supergrass
ポップでエネルギッシュな音楽性を基調としながら、グラム、サイケ、ソウル、フォークロックなど様々なジャンルの要素を取り入れ、デビュー当初のポップ・パンク路線を大胆に変化させていったが、発表したアルバムのほとんどが全英チャートのトップテン入りするなど、ブリットポップ終焉後もイギリスを代表するバンドとして高い支持を集め、今日では多くのミュージシャンから影響を公言されている。
The Bluetones
1994年、マーク・モリス(vo)を中心に結成された英国ロックの人気バンド。95年にシーンに登場し早くも高い評価を獲得、96年のデビュー・アルバム『エクスペクティング・トゥ・フライ』はブリット・ポップ・ブームにも後押しされてチャート初登場1位を記録。爽やかで柔らかなギター・ポップ・サウンドで人気を呼んだ。その後、人気が後退するも、バンドはよりソウルフルな表現を体得し成長。2000年の3rdアルバム『サイエンス・アンド・ネイチャー』は高評価を得た。
The Boo Radleys
1993年の『ジャイアント・ステップス』では、レゲエやハウス、フォーキーなサウンドを取り入れ、NMEのアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど高い評価を得る。1995年には、シングル「ウェイク・アップ・ブー!」がトップ10ヒットとなり、ブリットポップの幕開けを告げた。 同年発表の『ウェイク・アップ!』では、ハーモニーやホーン・セクションをも導入し、リヴァプールの伝統を感じさせるポップ・サウンドへと方向転換。これが功を奏し、アルバムは全英1位を獲得。
The Charlatans
1988年に英ウエストミッドランズで結成されたロック・バンド。90年に自主レーベルからデビュー。同年夏に発表したシングル「ジ・オンリー・ワン・アイ・ノウ」が爆発的なヒットとなり、その後のマンチェスター・ムーヴメントの代表的なバンドへと躍進。ブームの終焉後、メンバーチェンジや事件、事故なども重なり、90年代は苦難が続くも、コンスタントに良作を発表。2000年代以降もペースを緩めることなく活動を展開。日本へもたびたび来日を果たしている。2015年2月、2010年の『フー・ウィ・タッチ』に続くオリジナル・アルバム『モダン・ネイチャー』をリリース。
Alternative rock & Others
The Stone Roses
60年代のブリティッシュ・ポップス風の甘く美しいメロディとハーモニーに、ハウスのノリをミックスしたような豪快なサウンドが、当時のブームとなっていたレイヴなどにリンクして、本国イギリスをはじめ、ヨーロッパや日本で人気爆発。後続のバンドに大きな影響を与え、ハッピー・マンデイズなどとともに、マンチェスター・ムーヴメントの中心的存在として活躍。
Placebo
1994年にロンドンで結成。ブリットポップ期のデビューながら、ブリットポップとは完全に趣を異にするグラムロックやゴシック・ロック色の強い音楽性は、当時のシーンにおいて異彩を放っていた。その後は徐々にニューウェイヴ色を強めている。フロントマンのブライアン・モルコは、アイシャドウに口紅といった女性的なヴィジュアル・メイクを施すことでも知られる。
Primal Scream
スコットランドのグラスゴーでボビー・ギレスピーとジム・ビーティによって結成されたロックバンドである。プライマル・スクリームはその長きにわたる活動の中で、音楽性を多分に変化させてきた。当初ビーティの12弦ギターが印象的なギター・ポップバンドだった彼らは、代表作『スクリーマデリカ』でダンスミュージックに接近し、ドラッグ・レイヴカルチャーとの結びつきを強めた。彼らはアルバム毎に変化を続け、ポストパンク、ダブ、ガレージロック等、様々なジャンルを内包した楽曲を発表し続けている。
Radiohead
英オックスフォード出身のロック・バンド。メンバーはトム・ヨーク(vo,g,key)、ジョニー・グリーンウッド(g,key)、エド・オブライエン(g)、コリン・グリーンウッド(b)、フィル・セルウェイ(ds)の5名。92年にメジャー・デビュー。シングル「クリープ」が18週間全米トップ20を記録して一躍注目を浴びると、その後も世界各国でヒットを放つ。ポスト・パンクやオルタナティヴ・ロックをベースに、ポスト・ロック、ジャズ、エレクトロニカ、現代音楽などが多彩な要素が混在した音楽性が特色。
The La’s
(Jangle pop)
英リヴァプール出身のロック・バンド。1980年代半ばにリー・メイヴァース(g,vo)らで結成。86年にジョン・パワー(b,vo)加わって以降は、リーとジョンを中心に活動。87年の「ウェイ・アウト」でシングル・デビュー。当初はセールスも伸び悩んだが、90年のシングル「ゼア・シー・ゴーズ」がヒット。ビートルズを彷彿とさせる作風もあって世界的な評価を獲得。同年にセルフ・タイトル・アルバムを発表し“ブリット・ポップ”時代を到来させるものの、翌年より活動停止に。2005年に再結成しサマーソニックや来日公演を展開。英でもライヴを開催するが、その後再び活動休止に。
The Libertines
(Indie rock / Garage rock)
英リヴァプール出身のロック・バンド。当初はセールスも伸び悩んだが、90年のシングル「ゼア・シー・ゴーズ」がヒット。ビートルズを彷彿とさせる作風もあって世界的な評価を獲得。同年にセルフ・タイトル・アルバムを発表し“ブリット・ポップ”時代を到来させるものの、翌年より活動停止に。2005年に再結成しサマーソニックや来日公演を展開。英でもライヴを開催するが、その後再び活動休止に。
The Verve
英国北部のウィガンでリチャード・アシュクロフト(vo)、ニック・マッケイブ(g)を中心に結成されたサイケデリック・ロック・バンド。91年デビュー。95年に一旦解散するも、彼らをリスペクトするオアシスの強力なバック・アップを受けて97年に再始動。復活シングル「ビタースウィート・シンフォニー」、アルバム『アーバン・ヒムズ』は全英で大ヒットを記録。マッケイブの脱退により99年に一度解散したが、2007年に再結成を果たした。
Travis
(Soft rock)
トラヴィス (Travis) は、スコットランド・グラスゴー出身のロックバンド。デビュー当初はオアシスのフォロワー的な荒々しいサウンドだったが、セカンド・アルバム以降、内省的な歌詞にメランコリックな美メロ・バラードを持ち味とするバンドへと変貌し、レディオヘッドらとともに90年代後半のブリットポップ後のUKシーンの新たな潮流を作った。
Indie rock & Pop rock
Feeder
1992年にニコラスを中心に結成され、95年にヒロセが加入。97年のデビュー・アルバム『ポリシーン』はメタル・ハンマー誌で最優秀アルバムに選ばれるなど高評価を獲得。その後、米進出、英ツアー、フェス出演などを成功させ、人気を博す。2002年にオリジナル・メンバーのジョン・リーの自殺という悲劇が襲うも、サポートを加え、メンバーチェンジを重ねながら活動を継続し、質の高い作品を提供。
Happy Mondays
ハッピー・マンデーズ (Happy Mondays) は、イギリスのロック・バンド。略称「ハピマン」。バンド名はニュー・オーダーのヒット曲「ブルー・マンデー」に由来する。ショーン・ライダーのしわがれたボーカルと、レイヴカルチャーをバンドで体現する野太いグルーヴが合わさった独特で能天気なダンスサウンドが特徴。
Keane
1997年に英国サセックスで結成されたロック・バンド。2003年に発表したシングル『Everybody’s Changing』がメディアから高い評価を受け、英国ロック界で注目を集める。2004年発表のファースト・アルバム『ホープス・アンド・フィアーズ』はUKチャート初登場1位を記録、同時にプラチナ・アルバムを達成した。
Manic Street Preachers
南ウェールズにて結成。ブラックウッド出身の幼馴染の4人組は、グラム・パンク風の装い、強力なメロ、政治/文学/哲学を詰め込んだ歌詞の知性とギターロックの肉体性の見事な融合で、強固な支持基盤を得た。幾多の困難を乗り越えながら、4作目のアルバムの成功以来、英国を代表する国民的バンドとなっている。
Snow Patrol
時代を代表する何枚ものシングルを世に送り出してきた彼らは、北アイルランドとスコットランド出身のメンバーから成る英国の5人組だ。彼らがこれまでに発表してきたアルバムは、英マーキュリー音楽賞、グラミー賞、そしてMTVヨーロッパ・ミュージック・アワードにノミネートされ、3作目『ファイナル・ストロー』(原題:Final Straw)は、2005年にアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞。
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1 Comment
ずっと気になっていて思い出せないバンドがあります。90年代、マンチェスターが下火になった頃の新人で、壊れたようなハモンドオルガンを鳴らす、若いのに渋い、例えるならヴェルベットアンダーグラウンドを激しくしたようなサウンドでした。当時たしかロッキングオンとかが期待の新星として推していて、来日(クラブクアトロ)もしましたがアルバム一枚で解散したと思います。もしバンド名お分かりになれば教えていただけますでしょうか。。また聴きたいんですけどどうしても名前が分からなくて。色々と探す中でこちらに辿り着きました。よろしくお願いします!